プロフィール
中村 哲(なかむら てつ)
パシュトー語: تېڅو ناکامورا、
アフガニスタンの人々には「カカ・ムラド」と呼ばれ、国籍や宗教の違いを越え命がけで救いの手を差し伸べてくれた日本人として、神様のように慕われている。
カカはおじさん、ムラドは希望という意味だそう。
1946年9月15日 – 2019年12月4日(享年73歳) 福岡県出身
九州大医学部を卒業後、国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン・ペシャワルに赴任。ハンセン病患者、貧困層の治療に携わり、難民の医療救援活動も実施。
1991年からアフガニスタン東部で山岳無医村の医療活動を始め、2000年以降は井戸や用水路の建設事業に取り組む。
30年に及ぶ内戦で不安定な情勢が続き、その上、干ばつで砂漠化したアフガニスタン東部で、人生をかけて現地住民とともに力を合わせ、用水路建設に尽力される。
「百の診療所より一本の用水路」
この言葉を合言葉に、人々が食べて生きていける大地を取り戻そうと「緑の大地計画」を実施。
アフガニスタンでは温暖化の影響で農地が乾燥し、年々失われて、食料が少なくなり、深刻な事態になっている。私は医療関係者だが、薬だけでは人々の健康は守れない。清潔な水、それから十分な食べ物を確保するために、かんがい事業が欠かせない
誰もそこへ行かぬから、我々がゆく。
誰もしないから、我々がする。
結果、25km以上にもおよぶ用水路を引き、乾き果てた大地を緑の農地に生まれ変わらせ、多くの雇用を生み出した。
僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる
「信頼」は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れるのである。それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのである
NHK『知るを楽しむ この人この世界』より
私たちは自然さえ科学技術で制御でき、不老不死が夢でなく、カネさえあれば豊かになれ、武力を持てば安全とする錯覚の中で暮らしています。そして世の中は、自然から無限大に搾取できるという前提で動いています。疑いなく、ひとつの時代が終わりました。カネと暴力が支配する世界は、自滅への道を歩んでいるように思えます。
ペシャワール会報より
原発が危ない、と言いながら、みんな快適な生活を手放さず、消費欲望を膨らませている。満腹なのに食欲増進剤を注射しているようなものです。
せめて消費を減らし、成長ではなく現状維持のために立ち止まるべきです。
2019年12月9日、作業現場へ車で向かう途中銃撃される。
異国の地の危険と隣り合わせの環境で、偉大な功績を残した人物を世界は突然失った。
中村哲医師の功績を語り継ごうと、アフガンのNGOが絵本を出版することを決定。アフガンでの約30年にわたる貢献を紹介する内容になる。
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