夏をあらわす美しいことば ー 雅語・和語・大和言葉

夏 ことばから日本を知る

太陽のエネルギーがみなぎる暑い夏。
梅雨の恵みの雨も加わり、緑が一層生い茂る季節です。
ジメジメした厳しい暑さに悩まされる高温多湿の日本では、昔から暑い夏を“涼しく過ごす知恵と工夫がありました。
五感を使って涼を感じる日本の習慣は風情があって良いものです。
そんな夏にまつわる和語や、涼を感じる言葉を集めてみました。

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夏を感じる日本の言葉|夏の季語

初夏(しょか)

夏の初め。現在の暦で、5月の初旬から6月の初旬のこと。
空はからりと晴れ渡り、日の光は強いけれども暑さはまだそれほど強くはない、すがすがしい季節。

薫風(くんぷう)

初夏に新緑のあいだを吹き抜ける、若葉の薫りをまとった風のこと。
夏に吹く南風。夏(仲夏)の季語。
読み下して「風薫る5月」というフレーズでよく使われます。
この風の香りの正体は主に樹木が作り出すフィトンチッド。
5月といえば新緑の季節ですが、木々の成長が最も盛んとなるため、虫や細菌をやっつける揮発性物質「フィトンチッド」をいつもよりたくさん出すそうです。
この芳香が、木々の間を吹き抜け、爽やかな香りを初夏に運んでくれるというわけなのですね。

青嵐(あおあらし)

初夏の青葉が茂る頃、木々や草を揺らして爽やかに吹くやや強い風のこと。
夏(仲夏)の季語。

夏めく(なつめく)

春が過ぎ、夏を迎えようかという頃。陽射しや気温、風の吹きぐあいなどに夏らしさが感じられ、つややかな新緑や、人の装いからもそれが感じ取れることを言います。夏(初夏)の季語。

五月雨(さみだれ)

梅雨期に降り続く雨のこと。夏(仲夏)の季語。
「五月雨」の「さ」は陰暦五月の雅語である「皐月(さつき)」や、苗代から田に植える頃の稲の苗「早苗」、耕作を意味する古語「さ」を表し、田植えの時節を指しています。みだれは「水垂れ」(みだれ)、つまり雨を意味していて、「さ」と「みだれ」の二つの言葉を組み合わせて「さみだれ」というようになりました。

青梅雨(あおつゆ)

青々とした新緑に降りそそぐ梅雨のこと。夏(仲夏)の季語。
青葉や草花を育む雨の潤いが、雨の日ならではの落ち着きのある閑かさを感じさせます。単に「梅雨」を用いる場合よりも、じめじめとした鬱陶しさや、暗さがやわらぎ、明るく潤いのあるものに感じさせてくれる言葉です。

梔子の花(くちなしのはな)

梅雨どきに、白い清楚な花を咲かせ、甘い香りを漂わせる梔子の花。夏(仲夏)の季語。初夏の風によって甘い香りが運ばれることから、「喜びを運ぶ」という花言葉がつきました。
梔子の名は、果実が熟しても口を開かないことから、「口無し」という名がついたといわれています。

「薄月夜 花くちなしの 匂いけり」正岡子規
「雨雲が多く月も薄れてしまう夜に、ふと梔子の花の香りを感じた」という意味。

蝉時雨(せみしぐれ)

多くの蝉が鳴き止んだかと思うと、あちらで一斉に鳴きたてる声が、まるで通り雨の時雨が降る音のように聞こえることをいう言葉。
本格的な夏の訪れを感じます。夏(晩夏)の季語。

朝凪(あさなぎ)

夏の晴れた朝方、夜の陸風から昼の海風に風向きが入れ替わり、完全に風がやむ状態を表した言葉。
夏(晩夏)の季語。
朝の海がとても静かで落ち着いている様子。

涼風(すずかぜ)

夏の終わり頃に吹く涼しい風のこと。夏(晩夏)の季語。
晩夏になると夏型の気圧配置がくずれて、暑い風とは異なった涼しい風が吹きます。
暑い夏の時期が終わりを迎え、秋の訪れを感じさせてくれます。

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夏に涼を感じる日本の言葉

打ち水(うちみず)

打ち水は、自宅の前の道や、庭に水をまくことで涼をとることに加え、道の土ぼこりを抑える効果もあります。
打ち水をすることで、水が蒸発する際に地熱を下げる効果があり、濡れた地面を通る風も涼やかに。
地球温暖化が問題になっている昨今は、環境に優しい暑さ対策として打ち水が注目されているようです。

水うちわ(みずうちわ)

普通のうちわとは違い、見た目が透けている水うちわは、昔は水につけて気化熱で涼むという方法で涼をとっていました。 使われている和紙は、雁皮(ガンピ)紙という「美濃手漉き和紙」 で、手作りの大変貴重な伝統工芸品です。

風鈴(ふうりん)

日本の夏、家の軒下に吊り下げ涼しげな音を鳴らす小型の鐘鈴。
元は仏教とともに中国から伝来し、「風鐸(ふうたく)」と呼ばれていました。
はじめは青銅製で、風向きや音の鳴り方などで物事の吉凶を占うためのものだったようです。
その後、平安時代に魔除けとして貴族が使用するようになり、江戸時代にガラスで作られた現代の風鈴が流行したと伝えられています。

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