縁起を担ぐ

ことばから日本を知る

「縁起を担ぐ」から「験担ぎ」になった由来

「縁起をかつぐ」とは、それがよい前兆であるとか悪い前兆であるとか、縁起がいいのか悪いのかと気にかけること。

また、積極的に幸運をつかむための働きかけという意味も隠されています。(知野 久保, 2001)

本来は「縁起を担ぐ」であったのが、江戸時代(1603年〜1868年)に倒語(=逆さ言葉)が流行ったことで、縁起を「ぎえん」と言うようになり、それが徐々に「げん」に変化し、「験」の漢字が当てられ「験を担ぐ」に定着したようです。

今でいう業界用語のザギン(銀座)やワイハ(ハワイ)やシースー(寿司)などの逆さ読みは、現代に限ったことではなく、古い時代にも流行っていたことなんですね。

他に、江戸時代から倒語によって定着した言葉には、

だらしない →(元は)しだらない
新しい →(元は)あらたしい
ネタ →(元は)たね

などがあります。

脱線しましたが、「験担ぎ」とは、

ある物事に対して、以前に良い結果が出た行為を繰り返し行うことで吉兆を推し量ること。また、良い前兆であるとか悪い前兆であるとかを気にする、すなわち、縁起を気にすることや、縁起を気にして物事の成功を願った行動を行うこと。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

「験を担ぐ」の語源は「縁起を担ぐ」からきていて、

過去に成功したときと同じ行動をすることで、再び良い縁を起こそうとしたり、幸運をつかむために働きかけることなのですね。

 

成功者もアスリートも験担ぎしていた

勝負が常につきまとうスポーツの世界や、成功する経営者には験担ぎを行っている人が多いと聞きます。

時間を惜しまず技術を磨き、努力をしてきた。けれど最後に勝敗を決めるのは時の「運」。
その「運」という目に見えない力を引き寄せるために、昔から験担ぎが行われていました。

たとえば、戦国時代の戦国武将たちが出陣前に、「打ち鮑、勝栗、昆布」を食べるという一連の儀式。「打ち、勝ち、喜ぶ」を願ったと言われています。

験担ぎには語呂合わせ系や、決まった所作を行うルーティン系、パワーストーンやお守りなどを身につける系などがあります。

過去に良い結果が出た時と同じ行動をすることで、良い結果に導かれるようにするゲン担ぎもあります。成功したときと同じ行動をすることで、再びその時の良い縁を起こすと言われています。

良い結果に結び付くようにという祈りの心も作用し、前回もよかったから次も必ずうまくいくというポジティブな暗示によって自信がつき、それが結果に影響しているのではないかとも考えられます。

他にも自身のルーティンを持つことで、良い結果に導かれることがあります。
普段通りのアクション、同じ行動パターンを取ることで精神を安定させ、不安な気持ちに占領されず、いつも通りの力を発揮することができるようです。

もちろんその前提に、自分の持っている限りの力を出し切って、できる限りの努力をしたその先に、運が開けて、験担ぎの効果も出てくるのではないかと思います。

 

語呂合わせで験担ぎ

言霊の力

「日本人は昔から、言葉にも霊魂が宿っていると思っていました。口にした言葉が現実に何かしらの影響を与えていて、ある言葉を発すると夢(目標)が実現でき、一方で、ある言葉を発すると悪いことが起こると考えられていたのです。ゲン担ぎと言霊は、ともに二面性の意味を持っている。つまり、ゲン担ぎという風習の根底には、この言霊という考え方があるのです」

引用:畑中章宏(民俗学者・編集者。
著書『日本の神様』『柳田国男と今和次郎』『21世紀の民俗学』など)

良い言葉は幸せを引き寄せ、悪い言葉は不幸を引き寄せると言われています。

勝つために「かつ丼」を食べる

五円玉と「ご縁」をかける

おめでたい席に「鯛」の料理

運気を上げるために「揚げパン」を食べる

などなど。

運気をよくするためには、ネガティブな言葉を避けて、響きが良く縁起の良い言葉をたくさん使うようにしましょう。

良い言葉を選んで用いる文化を大切にしたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました