春を表すことばー春の季語
草木が芽吹き、花の蕾を次々と開花させていく、温もり感じる季節。
春の訪れは気持ちを明るくウキウキさせてくれます。
そんな春を表現する美しいことばを「雅語・和語・大和言葉」から集めました。
淡雪(あわゆき)
春先の、うっすらと積もって消えやすい雪。
雨水(うすい)
二十四節気の一つ。現行の暦(グレゴリオ暦)では2月 19日頃。
空から降るものが雪から雨に変わり、積もった雪も解け始める頃。
薄氷(うすらい)
冬が過ぎ、春になる頃、水面に薄く張った氷。
麗らか(うららか)
空が晴れて、日が柔らかくのどかに照っている様子。
もう一つの意味として、雰囲気や空気、声などに曇りがなく、晴れ晴れとしていて、明るく朗らかで楽しげであるということ。
うららかな春の日差しに誘われて、土の中から花の芽が顔を出しました
喧嘩をしていた夫と仲直りし、今のわたしの心はとてもうららかです。
朧月(おぼろづき)
春の夜、霧や靄 (もや) などに包まれて、柔らかくほのかにかすんで見える月のこと。
春は年で一番1寒暖差が激しい季節。そのため昼に温まった空気が夜になって急激に冷やされ、霧(きり)や靄(もや)によって空がぼやけて見えるのです。
そのため春にこそ見られる気象条件として、春の季語となっています。
なお、夏や冬の月を見て「朧気だな」という表現はできますが、逆に夏や冬に「朧月が出ている」という表現は間違っていることになるようです。
陽炎(かげろう)
水蒸気が地面から立ち昇るとき、あたたかい空気によって光が不規則に屈折する現象。春や夏などに、透きとおった炎のように地面からゆらゆら立ち昇って見える。
霞(かすみ)
春の朝から昼に、空気中に浮かんでいるさまざまな細かい粒子によって遠くがはっきり見えない現象。
「かすみ」は夜には使われず、夜の現象は「朧(おぼろ)」と呼んで使い分けています。秋の同じ現象は「霧」とあらわします。
風光る(かぜひかる)
春になり日差しが強まってくると、吹き渡る風も輝くように思える様子。
啓蟄(けいちつ)
二十四節気の一つで、三月六日ごろ。また、このころに冬ごもりをしていた虫が穴から出てくることをいう。実際には、このころ虫が地上に出てくるのは、せいぜい九州南部くらい。
東風(こち)
春先に東または北東から吹く風のこと。
学問の神様・菅原道真が詠んだ和歌により、春を告げる風として有名。
「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花、主(あるじ)なしとて春を忘るな(春な忘れそ)」
残雪(ざんせつ)
春になっても消えずに残っている雪。
下萌え(したもえ)
早春。去年の枯草に隠れるように草の芽が生え出てくること。
厳しい冬を耐えて、枯れ草の下に草が萌え出しているということで、下萌の「下」は「枯草の下」を意味します。新たな春の息吹が感じられる言葉。春の季語。
春眠(しゅんみん)
春の夜の快い眠り。
春雷(しゅんらい)
春の訪れを告げる雷。
花曇り(はなぐもり)
桜の花の咲くころの、薄くぼんやりと曇った空模様。
日永(ひなが)
日の短い冬が終わり、春になって太陽の出ている昼間が長く感じられること。
最も昼が長いのは夏ですが、「日永」は春の季語になっています。
実際に昼が一番長いのは夏ですが、寒い冬を乗り越え、日が延びてきた喜びを込めて春の季語とされています。
春が「日永」なら、夏は「短夜」、秋は「夜長」、冬は「短日」となり、それぞれその季節の季語となっています。
佐保姫(さほひめ)
佐保姫は春の女神のこと。
染めや織りが得意な佐保姫は、野山をやわらかな春色に染め、佐保山の春霞を織り出すと云われています。
陰陽五行説では東の方角は春に配当されていて、昔の都である平城京の東に佐保山(現在の奈良県法華寺町法華町)があったことから、そこに宿る神霊佐保姫を春の女神と呼ぶようになったそうです。
佐保姫と対を成す女神は、平城京の西にある竜田山の女神豊田姫で、秋には竜田山の紅葉を染めると云われています。
佐保姫という名は、和菓子の名前としても用いられ、茶道の春のお稽古で必ず出てくる生菓子の名前にもなっています。
立春(りっしゅん)
春の始まり。初春。
二十四節気の最初の節気で、2月4日頃。 節分の翌日。
旧暦では立春が新しい年の始まりとされていました。「新春」「迎春」などの言葉はその名残です。
梅の花が咲き始め、あたたかな春の兆しが見られ始めます。
立春大吉(りっしゅんだいきち)
立春の早朝、禅寺の門に貼り出される文字。
「立春大吉」の文字は左右対称で縁起がよく、厄除けになるといわれています。
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