桜の語源と花言葉

ことばの雑学

桜の美しい語源は日本神話から

桜の語源には数え切れないほどの説がありますが、その中の代表的な説の一つに日本神話があります。

日本の国に神さまがいらっしゃったとされる神代の頃の話です。

山の神のオオヤマズミノミコト(大山祗命)と野の神のクサノヒメノミコト(草野姫命)との間にコノハナノサクヤヒメノミコト(木花開耶姫命)という日本神話の中で最も美しい女神が生まれました。

安産の神様として有名な、木 花 開 耶 姫 命コノハナノサクヤヒメノミコトの別名
————————————————————————-
古事記での本名:神阿多都比売(カムアタツヒメ)
古事記での別名:木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)
日本書紀での本名:神吾田鹿葦津姫(カムアタカアシツヒメ)
日本書紀での別名:木花開耶姫(コノハナサクヤビメ)

コノハナノサクヤヒメノミコトはニニギノミコト(瓊瓊杵尊)に嫁ぐまで花の宮殿の奥深くに住まっていました。
あるとき、父の命のいいつけで、雲を踏み、霞に乗って紫雲にそびえる富士の山頂に天降り、桜の種をまきました。そこから日本中に桜の花が咲き乱れるようになったと言われています。
桜の古名はコノハナ(木花)。
サクラはコノハナサクヤヒメの「サクヤ」から来たと言われています。

もう一つ有力な説は、神様が宿る木という説。
昔々、「サ」は耕作を意味し、同時に山の神様、稲の神様を意味していました。
神様は春になると里に降りてサクラの木に宿られたため、サ(稲の神様)+クラ(神座の意)と呼んだと言われています。

桜の種類と花言葉

日本の桜は種類が様々。
日本に古来から自生する桜は11種、それらから自然交配で生まれたのが100種、さらに育成された栽培品種が200種、分類によっては600種を超えると言われています。

代表的な品種を見ていきましょう。

有名な桜の品種と特徴、花言葉

桜全般の花言葉は精神美・優美な女性・純潔です。
品種によっても花言葉がつけられています。

ソメイヨシノ(染井吉野)

染井吉野はエドヒガンザクラとオオシマザクラの交配により誕生したサクラ。
江戸時代、染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木職人が、品種改良した桜を「吉野桜」と名付けて売りだしたのが始まり。
吉野山のヤマザクラと、混同されることを避けるため、染井村で作られた吉野の桜という意味で、明治になってソメイヨシノと命名されました。

全てのソメイヨシノは、接ぎ木や挿し木によって増やされているため、元は一本の木。
そのため、一斉に開花して一斉に散るという特徴があります。
満開時に葉はなく、花は大きめで見応え十分なソメイヨシノは、観賞用として人気となり日本全国に多く植えられました。日本の桜の80%はソメイヨシノと言われています。
そのような条件によってソメイヨシノは桜の開花・満開日の予想となる「桜前線」の標本木となっています。

花言葉:高貴・純潔・優れた美人・精神美

ヤマザクラ(山桜)

桜の原種の一つ。桜と言えば、吉野の桜が有名ですが、品種はこのヤマザクラです。シロヤマザクラを中心に約200種3万本の桜が群生しています。平安時代より桜の名所として詠われてきました。

花言葉:あなたに微笑む・純潔・高尚・淡泊・美麗

オオシマザクラ(大島桜)

桜の原種の一つ。
白い花弁と、上品な甘い香りを特徴とする桜であり、桜餅を包む塩漬けの葉はこのオオシマザクラの葉が使われています。
オオシマザクラは、ソメイヨシノやカワヅザクラの片親として有名。潮風に強いのが特徴で、伊豆半島や伊豆大島などに自生しています。
オオシマザクラの幹はほかの桜に比べて太く、炭の材料に最適だったため、薪材として植林されたこともあったようです。

花言葉:純潔・心の美しさ

カワヅザクラ(河津桜)

オオシマザクラ とカンヒザクラの自然交雑から生まれた日本原産のサクラ。
原木が静岡の河津川沿いで見つけられたということで河津桜と命名されました。早咲きで知られています。時間をかけて咲き進み、長く花を楽しめるのが特徴。

花言葉:思いを託す・純潔・精神美

エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)

桜の原種の一つ。
江戸でお彼岸のころ花が咲くところからエドヒガンと呼ばれています。ソメイヨシノの母親にあたります。

花言葉:心の平安

カンヒザクラ(寒緋桜)

桜の原種の一つ。沖縄で桜と言えばこのカンヒザクラ。1〜2月の寒い時期に開花するため、俳句で緋寒桜は冬の季語にあたります。

花言葉:艶やかな美人・善行・高貴

オオヤマザクラ(大山桜)

桜の原種の一つ。
ヤマザクラに比べ花が大きいことからオオヤマザクラと呼ばれています。

花言葉:優れた美人

マメザクラ(豆桜)

桜の原種の一つ。
樹高や花びらが小ぶりなことからマメザクラと呼ばれています。
富士や箱根を中心に自生している。

花言葉:優れた美人

チョウジザクラ(丁字桜) 

桜の原種、ヤマザクラの一種。
香辛料の原料となる丁字(クローブ)に似た花を咲かせるためチョウジザクラと命名されました。

花言葉:純潔・高尚・美麗

ヤエザクラ(八重桜)

桜の中でも、八重咲きに花を付けるものの総称。
通常の桜の花びらは5枚なのに対し、八重桜は何枚もの花びらを重ねてつけて咲きます。
別名はボタンザクラ(牡丹桜)、キクザクラ(菊桜)。
桜よりも開花が二週間ほど遅いのが特徴です。
八重桜の代表的な品種として、カンザン(関山)、イチヨウ(一葉)、フゲンゾウ(普賢象)、ヤエベニシダレ(八重紅枝垂れ)などがあります。
幾重にも重なった花びらに、積み重ねられた知識や知恵をなぞらえて、「豊かな教養」「善良な教育」という花言葉がついています。

花言葉:しとやか・豊かな教養・善良な教育・理知

枝垂れシダレザクラ(枝垂れ桜)

枝がやわらかく枝垂れる桜の総称。
ソメイヨシノ(染井吉野)などの桜より少し早く開花を迎えます。
野生種のエドヒガン(江戸彼岸)から生まれた栽培品種のシダレザクラ(枝垂桜)、ベニシダレ(紅枝垂)、ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)が有名です。

花言葉:優美・純潔・精神美・淡泊・ごまかし

コメント

タイトルとURLをコピーしました