太陽のエネルギーがみなぎる暑い夏。
梅雨の恵みの雨も加わり、緑が一層生い茂る季節です。
ジメジメした厳しい暑さに悩まされる高温多湿の日本では、昔から暑い夏を“涼しく過ごす知恵と工夫がありました。
五感を使って涼を感じる日本の習慣は風情があって良いものです。
そんな夏にまつわる和語や、涼を感じる言葉を集めてみました。
夏を感じる日本の言葉|夏の季語
立夏(りっか)
二十四節気の一つ。毎年陽暦の五月六日ごろ。暦のうえではこの日から立秋の前日までが夏とされます。
実感からすると、夏というには早いような、新緑が美しくさわやかな季節。
初夏(しょか)
夏の初め。現在の暦で、5月の初旬から6月の初旬のこと。
空はからりと晴れ渡り、日の光は強いけれども暑さはまだそれほど強くはない、すがすがしい季節。
賀茂祭(かもまつり)
五月十五日、京都の上賀茂・下賀茂神社で行われる日本でも屈指の歴史ある大祭。御所から参向する勅使らの冠を、葵桂で飾ったことから葵祭とも言います。 夏(初夏)の季語。
薫風(くんぷう)
初夏に新緑のあいだを吹き抜ける、若葉の薫りをまとった風のこと。
夏に吹く南風。夏(仲夏)の季語。
読み下して「風薫る5月」というフレーズでよく使われます。
この風の香りの正体は主に樹木が作り出すフィトンチッド。
5月といえば新緑の季節ですが、木々の成長が最も盛んとなるため、虫や細菌をやっつける揮発性物質「フィトンチッド」をいつもよりたくさん出すそうです。
この芳香が、木々の間を吹き抜け、爽やかな香りを初夏に運んでくれるという。
夏至(げし)
二十四節気の一つ。毎年陽暦の六月二十一日ごろ。この日北半球では、太陽は最も北にかたより、昼間の時間が最も長くなります。つまり、日の出から日の入りまでの時間がもっとも長い日が「夏至」で、この日を境に、だんだんと日が短くなっていきます。夏(仲夏)の季語。
青嵐(あおあらし)
初夏の青葉が茂る頃、木々や草を揺らして爽やかに吹くやや強い風のこと。
夏(仲夏)の季語。
夏めく(なつめく)
春が過ぎ、夏を迎えようかという頃。陽射しや気温、風の吹きぐあいなどに夏らしさが感じられ、つややかな新緑や、人の装いからもそれが感じ取れることを言います。夏(初夏)の季語。
梔子の花(くちなしのはな)
梅雨どきに、白い清楚な花を咲かせ、甘い香りを漂わせる梔子の花。夏(仲夏)の季語。初夏の風によって甘い香りが運ばれることから、「喜びを運ぶ」という花言葉がつきました。
梔子の名は、果実が熟しても口を開かないことから、「口無し」という名がついたといわれています。
「薄月夜 花くちなしの 匂いけり」正岡子規
「雨雲が多く月も薄れてしまう夜に、ふと梔子の花の香りを感じた」という意味。
早乙女(さおとめ)
田植を行う若い女性のこと。昔は田植の祭儀にかかわる女の人が田の神に仕える装いとして、紺の単衣に赤い帯、白い手拭をかぶり、紺の手甲脚絆、菅笠のそろいの姿で一列にならんで苗を植えていたようです。夏(仲夏)の季語。
五月雨(さみだれ)
梅雨期に降り続く雨のこと。夏(仲夏)の季語。
「五月雨」の「さ」は陰暦五月の雅語である「皐月(さつき)」や、苗代から田に植える頃の稲の苗「早苗」、耕作を意味する古語「さ」を表し、田植えの時節を指しています。みだれは「水垂れ」(みだれ)、つまり雨を意味していて、「さ」と「みだれ」の二つの言葉を組み合わせて「さみだれ」というようになりました。
青梅雨(あおつゆ)
青々とした新緑に降りそそぐ梅雨のこと。夏(仲夏)の季語。
青葉や草花を育む雨の潤いが、雨の日ならではの落ち着きのある閑かさを感じさせます。単に「梅雨」を用いる場合よりも、じめじめとした鬱陶しさや暗さがやわらぎ、明るく潤いのあるものに感じさせてくれる言葉です。
五月晴れ(さつきばれ)
五月頃のよく晴れた天気という意味で使われることが広まっていますが、もともとは旧暦五月の梅雨の晴れ間のこと。陽暦五月のさわやかな晴天とは違い、炎暑の訪れを予感させる晴れをいいます。俳句では、今でも五月晴れを梅雨の季語として使っています。
小暑(しょうしょ)
二十四節気の一つ。毎年陽暦の七月七日ごろ。そろそろ梅雨も明けて、夏型の気圧配置となり、暑さが本格的になる時期。夏(晩夏)の季語。
青田(あおた)
稲が育って青々としている田。まだ稲の実っていない青々とした7月下旬ごろの田。夏(晩夏)の季語。
洒涙雨(さいるいう)
七月七日、七夕の夜に降る雨。
彦星と織姫が年に一度会った後の、別れを悲しむ涙が雨になったものとも、逢瀬を妨げる雨のことを指すともいわれます。
本来は旧暦の七月七日の雨であることから、季語としては秋を指します。
大暑(たいしょ)
二十四節気の一つ。毎年陽暦七月二十三日ごろ。学校も夏休みに入り、暑さも本番となりますが、実際の暑さのピークはもう少し後になります。夏(晩夏)の季語。
蝉時雨(せみしぐれ)
多くの蝉が鳴き止んだかと思うと、あちらで一斉に鳴きたてる声が、まるで通り雨の時雨が降る音のように聞こえることをいう言葉。
本格的な夏の訪れを感じます。夏(晩夏)の季語。
油照り(あぶらでり)
風がなく、雲の多い、汗ばむような蒸し暑い日和のこと。炎天の からっとした暑さとは違う、じりじりとした暑さことをいいます。夏(晩夏)の季語。
朝焼け(あさやけ)
日の出のころに東の空が赤く染まって見えること。
太陽の光が大気層を通過する時の散乱現象で、夏が最も色鮮やか。天気が下り坂になる前兆でもあります。夏(晩夏)の季語。
炎暑(えんしょ)
真夏の燃えるような暑さ。炎熱。酷暑。太陽がぎらぎらと照りつける最も厳しい暑さのこと。夏(晩夏)の季語。
草いきれ
夏の日差しが照りつける暑い日、夏草のむっとする匂い。「いきれ」とは、蒸れてほてること。夏(晩夏)の季語。
朝凪(あさなぎ)
夏の晴れた朝方、夜の陸風から昼の海風に風向きが入れ替わり、完全に風がやむ状態を表した言葉。
夏(晩夏)の季語。
朝の海がとても静かで落ち着いている様子。
涼風(すずかぜ)
夏の終わり頃に吹く涼しい風のこと。夏(晩夏)の季語。
暑い夏の時期が終わりを迎え、秋の訪れを感じさせてくれます。
夏に涼を感じる日本の言葉
打ち水(うちみず)
打ち水は、自宅の前の道や、庭に水をまくことで涼をとることに加え、道の土ぼこりを抑える効果もあります。
打ち水をすることで、水が蒸発する際に地熱を下げる効果があり、濡れた地面を通る風も涼やかに。
地球温暖化が問題になっている昨今は、環境に優しい暑さ対策として打ち水が注目されているようです。
水うちわ(みずうちわ)
普通のうちわとは違い、見た目が透けている水うちわは、昔は水につけて気化熱で涼むという方法で涼をとっていました。 使われている和紙は、雁皮(ガンピ)紙という「美濃手漉き和紙」 で、手作りの大変貴重な伝統工芸品です。
風鈴(ふうりん)
日本の夏、家の軒下に吊り下げ涼しげな音を鳴らす小型の鐘鈴。
元は仏教とともに中国から伝来し、「風鐸(ふうたく)」と呼ばれていました。
はじめは青銅製で、風向きや音の鳴り方などで物事の吉凶を占うためのものだったようです。
その後、平安時代に魔除けとして貴族が使用するようになり、江戸時代にガラスで作られた現代の風鈴が流行したと伝えられています。
夏の季語となる菓子と飲みもの
あんみつ、みつ豆、心太、葛切、水羊羹、葛饅頭、白玉、金平糖、氷餅、柏餅。
氷菓、氷菓子、かき氷、アイスクリーム。
ラムネ、ソーダ水、ビール、麦茶、甘酒。
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