名前だけに使われる漢字の読み方
漢字には名のりと言って、名前に使われる読み方、特有の訓読みがあります。
名のり訓、人名訓(じんめいくん)とも言います。
少し大きめの漢和辞典では、音・訓読みのほか、名のり読みを載せているものも多くあり、名づけのときには参考になります。
漢字によっては、何十もの多くの名のりを持つものがあり、公式に範囲が確定されているわけではないので、辞書の内容の幅によっては掲載されている名のり、掲載されていない名のりのある漢字もあります。
名のり訓は、あくまでも人名として、「このように使っている人が多くいる」「世間に浸透している」という意味で載せているようです。
名前に用いられる漢字には、源頼朝の「とも」や比企能員の「よしかず」のように、一般的な訓読みとは異なる「名乗り訓」「人名訓」と呼ばれる読み方があります。 #リサーチ・ナビ 「名乗り訓(名前の漢字の訓読み)を調べる」では名乗り訓を調べられる資料を紹介しています。https://t.co/6KJOnEOoxb pic.twitter.com/cdhb6SIB7l
— 国立国会図書館 NDL (@NDLJP) May 20, 2022
命名に使用できる漢字
子供の名前をつける時に使用できる漢字は戸籍法で「常用漢字」と「人名漢字」だけです。
『常用漢字表』あるいは『人名用漢字表』に載っている漢字以外は使えません。
子の名に使用することができる漢字については以下のリンクが参考になります。
名のり訓の由来の不思議
古来の訓読みの名残りや、昔の人の当て字が世に広まったものなど、由来は様々。
たとえば、鎌倉幕府の創始者である源頼朝の、朝(とも)について、通常、漢字辞典には「とも」という読みはありません。
元の漢字にはない読みなのに、なぜそう読むかなど分かっていないことが多いです。
表外読みとは?
名のり訓とは別に表外読みというものがあります。
常用漢字表に記載されていないふりがなのことで、漢和辞典などの辞書においては、漢字のふりがなに「▽」や「△」の記号が付され表記されています。
例えば、「美」という漢字。
音読みは「び」ですが、名前で使われている「み」という読み方は、常用漢字表に掲載されていないので、「表外読み」と言います。
「美」という漢字は常用漢字ですから命名に使用できますので、「み」は名のり訓ともいえま/す。
名前のふりがなに戸籍上の制限はない?
2022年現在、出生届にふりがなの記載欄はありますが、戸籍にふりがなは記載されません。
戸籍法には読み仮名に関する規定がなく、子の名に用いた漢字をどう読ませるか、についての戸籍法上の制限がないのです。
しかし今後、行政のデジタル化に向けて、戸籍に氏名の読み仮名を記載する法改正がなされるようなので、事情が変わるかもしれません。
漢字それ自体の読み方にそぐわないふりがなを付した場合など、役所で審査をすることになるかもしれません。
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