「腹」の中にある心
「腹が立つ」、「腹を決める」、「腹に納める」などという言葉があるように、「腹」は気持ちや心を意味して使われます。
「腹が立つ」という言葉は、日本最古の小説といわれる「竹取物語」の中でも使われているので、日本では昔から「腹」と心(感情)が関係していることを知っていたのですね。
今ではDNA解析が進んだおかげで、腸内環境に関する研究が進み、腹=腸の細菌叢によって性格や感情が変わることが知られるようになりました。
「腸は第二の脳である」「胃腸は心の鏡」と言われる通り、腹=腸にとって、心や感情は切り離しては考えられないことが、長い間使われてきたことわざや慣用句の言葉からも見えてきます。
「腹」が入ることわざ・慣用句
慣用句とは
習慣として長い間広く使われてきた、ひとまとまりの言葉・文句や言い回しのことで、類語に成句や成語がある。
ことわざとは
古くから言い伝えられてきた、教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉。生活体験からきた社会常識を示すものが多い。
(weblioより)
腹が立つ
癪にさわる。怒らずにはいられない。
腹の虫が治らない
癪(しゃく)にさわってどうしようもなく腹が立つ。
腹黒いはらぐろい
心がねじけていて悪事をたくらむ性質がある。
腹に据すえかねる
怒りを心中におさめておくことができなくなる。がまんができない。
腹が据すわる
何かが起きても動じないこと。いざという時の覚悟ができていて、どっしりと構えている様子。
腹に納おさめる
他人に言わず心の中にしまっておく。
腹を決める
覚悟を決める。
腹を固める
覚悟を決める。
腹を括くくる
どんな結果になってもたじろがないよう決心を固める。覚悟を決める。
口に蜜あり腹に剣けんあり
口ではうまいことを言うが、内心は険悪であること。
腹を探さぐる
それとなく相手の考えを探り出そうとする。
腹を割わる
本心を打ち明ける。隠さずに心の中をさらけ出す。
腹に一物いちもつ
心の中にたくらみがあること。
「腹」関する名言
人生は「腹」で決まる?!大事な決断に「腹」が重要
神経も腸に影響するけど、腸の具合が悪いと、神経に影響するんだよ。
斎藤一人
だから、決断が間違った決断をする。
…
何言いたいのかっていうと、腸って皆が思ってるより大切なの。
あなた達の健康を握ってる腸なんだよ。
それから、運勢を握ってるのは腸だって過言じゃないんだよ。
落ち着いて考えれば人間、良い考え出るんだよ。
それがソワソワしちゃうんだよ。わかる?
ケツの穴が小っちゃくなっちゃう。
人生の中では様々な困難な岐路に立ち、決断を迫られることがあります。
そんな時、まず第一に大切なことは、「将来それで、死に際にして自分は後悔するだろうか、しないだろうか」と考えること。
あなたが後悔しないと思うのであればそれで決め、次に、頭でも胸でもなく、“腹”で考え直し決断する。頭だけで考えれば利害だけの計算に走り、胸だけで考えると感情的になり頭が冷静になった時に後悔します。
頭と胸で考えたことを一度どっしりと腹におさめて人として深く考え直す。
そうして出た決断は決して死に際に後悔しません。
「腹をくくる」とは実はこのことです。
人生の大きな決断ほど、腹で考えた末に決断してください。
美輪明宏
では、この決断力を養うにはどうすれば良いのか。
「人の上に立つ者の哲学」著者 岬龍一郎
以下の発想は私が私淑し信奉する中村天風先生(ヨーガ哲学者)から学んだものである。まず人間の意思決定の主宰者は、頭(知識)でも感情(心)でもなく、魂だということを知るべきである。
この魂の宿るところを「胆」という。
古い言葉で言うと臍下丹田である。臍の少し下の部分であるが、ふつうこれを腹と呼んでいる。「腹が据わる」「腹で決める」「腹に落ちる」というように、ここは決断力や勇気(度胸)の源となる「気」があるところだ。
腹式呼吸(深呼吸)を行なうと気が落ち着くのもそのためだ。
ヨーガ哲学では気は魂から出てくるものとされている。「気迫」という言葉があるが、これは「気魄」とも書くように魂の入った気ということである。
「何ものにも屈せず立ち向かっていく強い精神力」という意味だ。
決断力はここから生まれるのである。
「腹」が元気だとカラダもココロもいい状態
腸内環境を整える〝腸活〟をはじめたのは8年前。
cancam.jp 「今、なりたいカラダNo.1♡加治ひとみさんの腸活ライフをネホハホ」より
食べ物がカラダのすべてに影響すると知り、内側からきれいになりたいと思ったのがきっかけです。
そこから自炊中心を心がけ、生活習慣をチェンジ!
まず、お腹まわりがすっきりしました。体重が増えにくくなり、きれいな便が出るように。肌をほめられることも増えたし、風邪も引きにくくなりました。
自然と気持ちも前向きに♪ 腸をきれいにするだけで、こんなに変化があるなんて自分でもびっくり。
まずは無理のない範囲でみなさんも続けてみて。腸活は裏切りません♡
じっさい、腸内細菌の状態がいいと心が穏やかになったり、悪いとイライラしたりすると考えられています。さらに、人間の記憶や理解、判断などにかかわる認知機能や、人を好きになるというような高度な脳のはたらきも、腸内細菌に関係があるのではないかともいわれ、ショウジョウバエを使った研究ではすでにそのことが証明されています。たとえば、腸内細菌の様子が似たもの同士だと、結婚生活もうまくいくのではないか、なんてことまで考えることができます
シロタ株.JP 「最新研究から見える”腸内細菌”と”免疫”」より
腸内環境が脳に働きかけ、行動、気分までをも変えていく
資生堂 グローバルイノベーションセンター 研究員(理学博士) 作田智洋
健康長寿の人の腸内には「ビフィズス菌」と「酪酸菌」が多くいることがわかってきました。
朝日新聞 Reライフ.net 「連載ー腸サイエンスの時代」辨野義己さんインタビューより
ビフィズス菌は通常、加齢によって減少していきますが、健康長寿の方々の便からは多くのビフィズス菌が検出されます。
一方、酪酸菌はがん細胞の抑制や腸管免疫の正常化などに効果があるとされています。
これらの菌は腸内で体に役立つ働きをする「長寿菌」とも呼ぶべき存在です。
健康のためには、これらの長寿菌を腸内に増やし、活性化させることが大切です
腸内細菌の変化は、脳やメンタル、心臓、肝臓、腎臓、皮膚など、全身の臓器に大きく影響することがわかってきました。
「腸のトリセツ」 著者 江田証
…
さらに、今まで原因がわからなかった説明のつかないだるさ、頭のぼーっとした感じ、集中力や判断力の低下までが、小腸の中で細菌が作り出す物質に原因があることがわかってきました。
とにかく腸を強くしておくことは、健康と若さと長生きにつながるのであります。つまり、”腸能力”を発揮すれば、豊かな人生が送れるのです
小泉武夫
「カイチュウ博士と発酵仮面の”腸”健康法」著者 藤田紘一郎・小泉武夫
いま、最新の科学研究は、このおなかの中の「決定者」が、わたしたちの想像をはるかに超えた力を持っている事実を明らかにしています。
「腸にいいこと」だけをやりなさい! 著者 藤田紘一郎
健康や寿命だけではありません。
太りやすいかどうか、老けやすいかどうか、落ち込みやすいかどうか、幸せを感じやすいかどうかといったことに対しても、この「決定者」が多大な影響を与えていることがわかってきたのです。
つまり、腸内細菌という「決定者」をどう扱うかによって、わたしたちの体の健康も心の問題も大きく変わってくるのです
私は最近、脳内幸せ物質であるセロトニンやドーパミンが腸で合成され、その前駆体が腸内細菌によって脳内に運ばれていることを報告しました。腸内細菌がバランスよく多量に存在しないと、私たちは幸せな気分になれません。「幸せ」を作っているのは腸だったのです。
「脳はバカ、腸はかしこい」 著者 藤田紘一郎
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