樹木言葉(ジュモクコトバ)|木言葉
ア行・カ行
アカマツ(赤松)
[別名]メマツ(雌松/女松)
[木言葉]
不老長寿・同情・哀れみ・慈悲
マツ科、常緑針葉高木。
材は建築材になり、松脂からテレピン油をとり、葉は薬用にもなる。いわゆるマツクイムシ(松くい虫)の害に遭うと枯れやすい。
イチョウ(銀杏)
[別名]ギンギョウ(銀杏)
[木言葉]
しとやか・鎮魂・長寿
イチョウ科、落葉性高木。
イチョウは人類の歴史よりもはるかに古い、2億年以上前の世界で最古の現生樹種の一つとされています。
病害や虫害がほとんどなく、大気汚染や剪定、火災に強いという特性があります。関東大震災や東京大空襲など大火の中、火に耐え生き延びたイチョウの話はよく聞きます。
油分を含み水はけが良いことから料理店のカウンターなどに利用されます。
木のまな板の中ではイチョウのまな板は特に人気。
滑らかで柔らかい木肌が特徴の木材で、加工がしやすく、彫刻や漆器の木地などにも使用されてきました。また、碁盤や将棋盤として使われることも有名。
秋には鮮やかな黄金色に紅葉し、秋限定の絶景を楽しませてくれます。
東京都の明治神宮外苑や、北海道大学札幌キャンパス、大阪市御堂筋などのイチョウ並木、樹齢千年以上の大イチョウなど秋には各地でイチョウの絶景が見られます。
食用とされる種子のギンナン(銀杏)は雌株だけになります。
カエデ(楓)
[別名]モミジ、カヘルデ、メープル
[木言葉]
大切な思い出・美しい変化・約束・遠慮
ムクロジ科カエデ属、落葉高木。
日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ。日本の秋と紅葉を象徴します。
その他にヤマモミジ、イタヤカエデ、サトウカエデ、メグスリノキ、トウカエデなどがあります。
カエデは木材として用いられ、国産のものはカエデ材、西洋から輸入されたものはメープル材と呼ばれて流通しています。カエデ材はやや赤味がかかり、メープル材は白、もしくは若干黄色っぽい色をしています。
庭木や、盆栽として人気が高く、園芸の世界では、切れ込みが深く数が多いものをモミジ、浅く少ないものをカエデと呼んでいます。
キハダ(黄蘗、黄肌)
[別名]ヒノハノキハダ、カラフトキハダシコロ、シコロベ、オウバク(黄檗)
[木言葉]
寛大・気前の良さ
ミカン科キハダ属、落葉高木。
水湿に強く、加工性に優れ、木目が美しい木材。
鉋で削ると材面は滑らかに仕上がり、光沢があります。
樹皮を剥くと内側は鮮烈な黄色で、この樹皮の部分を草木染めに使うことがあります。
クスノキ(楠木)
[別名]カンファーツリー
[木言葉]
忍耐
クスノキ科、常緑広葉樹。
樟脳の強い香りがあるのが特徴。昔から防虫剤や消臭剤、医薬品などに使われてきました。
材は硬く緻密で光沢があり、また虫害にも強いことから建築材や家具材などに利用されてきました。
古来より精霊が宿る樹とされていて、映画「となりのトトロ」のトトロの棲む木としても有名。
水や潮に強く、船の材料として使われてきました。海中に建っている厳島神社の大鳥居もクスノキでできています。
クリ(栗)
[別名]ジャパニーズ・チェスナット
[木言葉]
公平・真心・満足
ブナ科クリ属、落葉広葉樹。
クリの木は縄文時代より食用や建築用材として栽培されてきました。
材は重硬で弾力性に富み、加工はやや困難。
水湿に耐え、虫害や腐食にも強いことから、建物の土台や、かつての鉄道の枕木として利用されてきました。タンニンを含むことから染料や薬用にも利用されています。
クルミ(胡桃)
[別名]ウォールナット
[木言葉]
知性・知恵・野心
クルミ科、落葉高木。
チークやマホガニーと共に世界三大銘木の一つ。
柔軟な性質の材で、木目が美しいのが特徴。油脂分が多く手入れすると美しい光沢と艶が出るため、高級家具や工芸材として利用されています。衝撃に強いことから、スキー板や杖、ドラムスティックなどの材料にも用いられます。
ケヤキ(欅)
[別名]ジャパニーズ・ゼルコバ
[木言葉]
幸運・長寿・崇高
ニレ科ケヤキ属、落葉広葉樹。
古来より街道沿いに植えられ、暑い夏の日に木陰を与えてくれるケヤキ。樹形がおうぎ型に広がるケヤキは、成長が早く乾燥や暑い気候にもよく耐えます。
ケヤキの耐用年数は800年~1000年もあると言われており、お寺や神社の柱として多く使用されています。
京都の清水寺の舞台は168本のケヤキの柱で支えられているそうです。
清水寺は足かけ12年に及んだ「平成の大改修」が終了し、2020年12月3日より清水の舞台は解放されています。
また、ケヤキは和太鼓の胴の材料として、強度と耐久性、木目の美しさに加え、ケヤキの持つ弾力性や音の力強さから最上のものとされています。
コクタン(黒檀)
[別名]エボニー
[木言葉]
強い意志・固い信念
カキノキ科カキノキ属、熱帯性常緑高木。
材質は緻密で重厚、かつ堅固で、色合いは漆黒であるのが特徴。
サ行・タ行
サンキライ(山帰来)
[別名]サルトリイバラ(猿捕茨)、ドブクリョウ(土茯苓)
[木言葉]
不屈の精神・元気になる
サルトリイバラ科シオデ属、落葉つる性低木。
丸い果実が美しく、生け花や茶花として人気があります。
クリスマスリースの花材としてもよく使われています。
スギ(杉)
[別名]ヨシノスギ、オモテスギ、ジャパニーズ・シダー
[木言葉]
雄大・君の為に生きる
ヒノキ科スギ属、常緑針葉樹。
スギは日本で最も多く植林されています。長寿で樹高が高くなるのが特徴。屋久島の縄文杉は樹齢数千年とされる。
木目は通直、材はやや軟らかく加工が容易です。独特の芳香があるため菓子箱や酒樽に使われています。
スギの名の由来には諸説あり、幹がまっすぐに伸びることから「直木(スクキ)」と呼ばれ、これがスギに変わったとする説が根強いようです。
センリョウ(千両)
[別名]センリョウカ(仙寥花)、クササンゴ(草珊瑚)
[木言葉]
富・恵まれた才能
センリョウ科、常緑小低木。
葉はつやのある濃い緑で、葉の付け根にはまとまった赤い実のなる千両。
お正月飾りとしてよく目にする赤い実のセンリョウは、マンリョウ(万両)とともに縁起物として人気です。
赤い実のものが主流ですが、黄色い実の千両もあるようです。
タモ(梻)
[別名]ヤチダモ
[木言葉]
幸福な日々・未来への憧れ
モクセイ科トネリコ属、落葉広葉樹。
オーク材と共に人気の高いタモ材。淡い色の材で、場所によって色の深さが異なる木目の美しさが人気です。
硬い木で加工しやすく、均質な木材がとれるため、家具の材料としても用いられます。
野球のバットやホッケーのスティックなど、スポーツ用品にも使われています。
ツルウメモドキ(蔓梅擬)
[別名]ヤマガキ、ウメモドキ
[木言葉]
開運・真実・大器晩成
ニシキギ科ツルウメモドキ属、落葉つる性低木。
盆栽として使われることが多い他、美しい実をたくさんつけるので、秋の生け花やリースにもよく使われます。
黄色い実が裂けて、中から赤い綺麗な種子が顔を出すことから「開運」という花言葉がつけられています。
トチノキ(栃の木)
[別名]ホースチェスナット
[木言葉]
博愛
トチノキ科トチノキ属、落葉高木。
トチノキの名の由来は、十も千も実や葉を多く付けることから名づけられたと言われています。
材は緻密で軟らかく、容易に加工できます。光沢に品があり、ツルツルしています。
柔らかく木目が美しいことから、そば打ちのこね鉢や杓子などに使われています。
ナ行・ハ行
ナンテン(南天)
[別名]ナンテンチク(南天竹)、ナンテンショク(南天燭)
[木言葉]
福をなす・よい家庭・わたしの愛は増すばかり・あなたの魅力を心に刻む
メギ科、常緑低木。
ナンテンは「難を転ずる」に通ずる事から、縁起の良い木とされ、箸などに使われています。主に庭園樹として植えられ、生け花の花材になるほか、葉と果実は薬用として用いられています。
バイオレットウッド
[別名]パープルハート
[木言葉]
優しい愛情・誠実・変わらぬ愛
マメ科、広葉樹。
染めたような発色の良い紫色が特徴。高級感漂う美しさから人気があります。
木質は重硬で、加工が難しい材です。光沢があり、磨くとさらに輝きを増します。また耐久性や防虫性に優れます。
心材は空気に触れることで鮮やかな紫色に変化します。さらに、月日が経つにつれて徐々に赤ワインのような濃い赤紫色に変化し、年数をかけてさらに落ち着いた褐色へと変化します。
ヒイラギ(柊)
[別名]オニノメツキ(鬼の目突き)
[木言葉]
用心深さ・保護
モクセイ科モクセイ属、常緑小高木。
古くから邪鬼を払うとされ、庭木として植えられてきました。
ヒイラギは初冬に白い花を咲かせて、初夏に黒紫色の果実を実らせます。「柊の花」は初冬の季語とされている
類似の植物でクリスマスの飾りとして用いられるのは西洋ヒイラギです。似ていますがこちらは春に白い花を咲かせ、初冬に赤い果実を実らせる、モチノキ科であり、別種の植物になります。
ピットスポルム
[別名]クロハトべラ・トベラ
[木言葉]
飛躍・慈しみ
トベラ科、耐寒性常緑低木。
葉はブーケやフラワーアレンジメントの花材として人気。
葉のふちに白い斑がぐるりと入った”オブライアン”や、斑が葉全体に入った”カシスクリーム”、丸い葉がかわいい”クラッシフォリウム”など色々な品種があります。
ヒノキ(檜)
[別名]ジャパニーズ・サイプレス
[木言葉]
不滅 ・不老不死・強い忍耐力
ヒノキ科ヒノキ属、常緑針葉樹。
美しい光沢と艶、独特の香りを持つヒノキは、建築材料には欠かせない木材のひとつ。ヒノキの肌目は細かく木目はまっすぐで、比較的軽く、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、耐久性、耐水性があり、古くから建物の柱や土台に使われています。
その耐久性や保存性は世界最高レベルと言われ、飛鳥時代にヒノキで建てられた法隆寺は世界最古の木造建築物として今もなお維持されています。
また、ヒノキには芳しい香りがある事から、ヒノキ風呂やヒノキ酒器などに利用されています。
ホオノキ(朴の木)
[別名]ホオガシワ、フーノキ、ホーバ、ジャパニーズ・キュウカンバー・ツリー、ビッグリーフ・マグノリア
[木言葉]
友情
モクレン科モクレン属、落葉高木。
葉は「ホオバ」と言われ、大きく、芳香があり、殺菌作用もあるため食材を包んで朴葉餅や朴葉寿司、また食材をのせて焼く朴葉焼きや朴葉味噌といった郷土料理の材料として利用されています。
材木は緑がかったくすんだ色をしていて、材質は軽軟で狂いが少なく、水に強いことからまな板などの材として、また建具や、ピアノの鍵盤、将棋の駒、日本刀の鞘など幅広く用いられています。
マ行・ヤ行・ラ行
マツ(松)
[別名]ジャパニーズ・パイン
[木言葉]
荘厳・不老長寿・同情・哀れみ・慈悲・永遠の若さ
マツ科マツ属、常緑針葉樹。
マツは古くから神の宿る神聖な木とされていて、神が木に宿るのを“待つ”ところからマツと名付けられたとも言われています。樹齢が数百年になるほど長命であ利、冬も緑の葉を茂らせる常緑樹であることから、不老長寿の象徴とされています。
「同情」「哀れみ」などの木言葉は、ギリシャ神話の悲しいエピソードによるようです。
日本に自生している松の種類は6種あります。
(1)クロマツ(黒松):潮風に強いことから海岸域の防風林などに多い。
(2)アカマツ(赤松):クロマツよりも寒さに強く、塩に弱いので山の高い所に多い。マツタケが生えるのはアカマツ。
(3)ゴヨウマツ(五葉松):日本が原産。庭木や盆栽によく用いられている。
(4)ダイオウマツ、ダイオウショウ(大王松):主に生け花の花材として用いられている。
(5)エゾマツ(蝦夷松):北海道などの寒冷地に多い品種。材木の触りごこちがよく、お椀や割り箸などに用いられている。また建築や楽器の材料として幅広く活用されている。
(6)リュウキュウマツ(琉球松):沖縄県の県木にも指定されている日本の固有種。
他の木材と比べ可燃性の樹脂を多く含み、燃焼熱量が高いことから、陶磁器を焼き上げる登り窯や金属加工の鍛冶用の炭として珍重されています。
鉢に植えて盆栽として楽しむにも人気の樹種です。
松葉や樹皮、樹脂は漢方にも使われている。
松葉の成分にはビタミンCとKが多量に含まれ、その他にも蛋白質、糖類、テレピン油、鉄分、リン、カルシウム等様々なミネラルを含んでいるそう。
ムラサキシキブ(紫式部)
[別名]ミムラサキ(実紫)
[木言葉]
聡明・愛され上手
シソ科、落葉低木。
古くから山地の湿地や森林に自生しています。
秋が深まってくると葉は黄色く紅葉し、赤紫色の小さな実をつけます。
庭や公園に植えられているのはコムラサキシキブという品種が多いようです。
コムラサキの園芸種でシロシキブ(白式部)と言う、実が白い種類もあるようです。
モミ(樅)
[別名]モミソ、オミノキ、ジャパニーズ・ファー
[木言葉]
高尚・正直・誠実・永遠
マツ科モミ属、常緑高木。
モミの木目は通直で肌目はやや粗く、光沢はあまりありません。全体的に白っぽく、無臭であるのが大きな特徴です。
抗菌性があり、調湿性にもすぐれていることからカマボコ板や茶箱、そうめん箱などにも利用されています。
モミは元来、神聖な木として崇められ、神事に関わることに多く使われています。諏訪大社の御柱祭りで、モミが神木として扱われることは有名です。クリスマスでモミの木が飾られますが、日本のクリスマスツリーとして使われているモミの木は「ウラジロモミ」と呼ばれ、モミとは別の木になります。
ヤブコウジ(藪柑子)
[別名]ジュウリョウ(十両)
[木言葉]
明日の幸福・楽しい思い出
サクラソウ科ヤブコウジ属、常緑小低木。
『万葉集』に山橘(ヤマタチバナ)の名で詠まれています。濃い緑の葉と、冬につける赤い実とのコントラストが美しく、日陰や寒さに強いため栽培も容易なことから、寄せ植えや、観葉植物、盆栽として利用されています。
ヤマザクラ(山桜)
[別名]ワイルドチェリー
[木言葉]
微笑
バラ科サクラ属、落葉広葉樹。
森にひっそりと花を咲かせる野生のヤマザクラは、清楚で凛とした美しさがあります。
古くから日本の山地に自生してきた種でサクラの仲間では寿命が長く大木になります。
ヤマザクラはソメイヨシノと異なり、開花と同時に赤茶色の若葉を付ける為、遠目に見ると花が赤っぽく見えることが特徴です。木材の肌目はきめ細かでしっとりと手に吸い付くような滑らかな触感で、摩耗性にも強いことから浮世絵の版木や和菓子の木型にも使われてきました。
ユーカリ
[別名]ユーカリノキ(有加利樹)
[木言葉]
再生・慰め・永遠の幸せ
フトモモ科ユーカリ属、常緑高木。
ユーカリの種類は500種、変種も含めると800から1000もの種類があります。
原産地オーストラリアでは70mの巨木になる木もあれば、5メートル程で枝分かれする種類もあります。コアラの主食として知られています。
”ユーカリ・ポポラス”や”ユーカリ・グニー”などの丸い形の葉の品種は、観葉植物や、結婚式のブーケの花材として人気。
ユーカリはアロマオイルとしても用いられ、強い殺菌作用やリフレッシュ効果が知られています。
ローズウッド
[別名]シタン(紫檀)、レッドサンダルウッド
[木言葉]
愛情・家庭円満
マメ科ツルサイカチ属、広葉樹。
新鮮な木材には、バラのような香りをもつものもあり、ローズウッドの名の由来となっています。ローズウッドは紫がかった独特の色調を持った、光沢のあるとても硬い木材で、木材の中でも価値の高い木材とされています。耐虫害性や耐候性があり腐敗せず長持ちすることから、古代から世界各国で家具や仏壇、楽器、などに使用されています。現在ではある程度の幅の取れる物は入手が困難な状況となっているようです。
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