月夜につけられた美しい言葉

ことば辞典

夜空に輝く、さまざまな顔をお持ちのお月さま。
日本では古くから、月に美しい呼び名を付けてきました。
日本では昔、月の満ち欠けによって1か月を定める暦(太陰暦)を使っていたため、夜空を見上げて月日を確認していたそうです。
今ではあまり使わなくなった月の名も含め、優雅で美しい月の呼び名をご紹介していきましょう。

新月しんげつ / New Moon

地球と太陽の間に月が来ていて、地球から夜空の月が見えない日の月。
旧暦での月の第1日。別名、朔日さくじつ

二日月ふつかづき 

日が沈んだあとに浮かぶ、糸のように見えることがある細い月。
別名、繊月せんげつ。旧暦2日の月。

三日月みかづき / Crescent Moon

別名、若月わかづき眉月まゆづき
旧暦3日の夜の月。
三日月を見ると幸運に恵まれるいう言い伝えがあり、その昔、三日月に願いを込めると、やがて満ちて願いが叶えられると信じられていました。
とても縁起の良い月と言われ、国旗に使われたり、戦国武将が兜につけたりしていました。

黄昏月たそがれづき/ Twilight moon

夕暮れ時に、しばらく見える月。
旧暦で月の3、4日ごろの夕方の月。

上弦じょうげんの月 / First quarter moon

別名、七日月なのかづき弓張月ゆみはりづき
月齢7日の頃、月の満ち欠けが半分になり、弓の形に見えることから上弦の月と呼ばれています。

十日夜とおかんや

新月から10日目ごろ、半月より少しふっくらとふくらんだ月の呼び名。
旧暦10月10日に行われる収穫祭の名称にもなっています。初冬の季語。
十日夜の収穫祭は「田の神さまが山に帰る日」ともいわれ、地の神さまに感謝の気持ちを表すための行事とされています。
十日夜の行事は、主に東日本で行われていて、西日本では旧暦10月の「亥の子いのこ」という行事が行われます。

2022年の十日夜は、11月10日 木曜日です。

十三夜じゅうさんや

十三夜は、満月が少し欠けた形をしている月。
旧暦で、毎月13日の夜のこと。
日本古来の風習である十三夜のお月見の月は、十五夜の約1ヶ月後であることから、「後の月のちのつき」ともよばれます。
十五夜に次いで美しい月と言われています。
旧暦9月十三夜のお月見は日本由来の風習だといわれています。
栗や枝豆を供えることから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。

ちなみに、十五夜または十三夜のどちらか一方しかお月見をしない「片見月」は、あまり縁起が良くないとされています。
できれば、十五夜と十三夜の両方の日にお月見ができると良いと言われています。
さらには、十五夜・十三夜・十日夜の3日間が晴れてお月見ができると、縁起が良いとされているそうです。

2022年の十三夜は、10月8日 土曜日です。

十五夜じゅうごや

旧暦で、毎月15日の夜のこと。
お月見行事の十五夜は、旧暦8月15日の「中秋の名月」のことで、今の暦でいくと、9月中旬、年によっては10月に入ることもあります。
別名「芋名月」。

2022年の中秋の名月は、9月10日 土曜日です。

望月もちづき

旧暦十五夜の月。満月。ぼうげつとも呼びます。
地球が月と太陽に挟まれる位置関係にあるときをぼうと呼ぶことからついた呼び名。

天満月あまみつつき

満月の別名。
空いっぱいに光輝く月という意味。

立待月たちまちづき

旧暦17日の月の呼び名。
日没後、立って待っているうちにすぐに月が出てくることからついた呼び名。

居待月いまちづき

旧暦18日の月の呼び名。
立待月より月の出が少し遅くなったため、座って月を待つという意味。

寝待月ねまちづき

旧暦19日の月の呼び名。臥待月ふしまちづきとも。
月の出が遅くなり、とうとう寝転んで待っているという意味。

更待月ふけまちづき 

旧暦20日の月の呼び名。
夜更けになって月がようやく上がってくるという意味。

下弦かげんの月/ Waning moon

旧暦23日の月の呼び名。二十三夜月にじゅうさんやづきとも。
半月のかたちが弓を張った糸に似ていることからつけられた呼び名です。
下弦の月は、夜中に東の空にのぼり、昼頃に西の空に沈んでいきます。

月が暮らしともっと密接だった頃の日本では、十三夜、十五夜、十七夜、二十三夜、二十六夜など、それぞれの月齢に対する「月待つきまち」という行事が行われていたそうです。
今では、お月見といえば、「中秋の名月」の十五夜ですが、昔全国各地で人気だったのは「二十三夜待ち」だったとか。

三十日月みそかづき / Dark moon

旧暦で月の最終日。 晦日月つごもりづき、またはみそかとも。

暁月ぎょうげつ 

夜明けの空に残っている月のこと。
明け方の月。有明の月。

朧月おぼろづき

春の夜、きりもや などに包まれて、柔らかくほのかにかすんで見える月のこと。
春は年で一番1寒暖差が激しい季節。そのため昼に温まった空気が夜になって急激に冷やされ、きりもやによって空がぼやけて見えるのです。気象条件として春にこそ見られ現象なので、春の季語となっています。

梅雨つゆの月

梅雨の時季に珍しく現れる月。仲夏の季語。

薄月うすづき

薄い雲にさえぎられて、ほのかに光る月。秋の季語。

月白つきしろ(月代)

月が東の空に昇るのを前に、東の空がだんだん白んで明るく見えること。秋の季語。

月天心つきてんしん

冬の満月が天高く昇っていること。

月冴さゆる

冴えきった大気の中で凍りついたように見える月。冬の季語。


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